アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の仕組み

病院の薬(アレルギーの薬・ステロイドの薬など)は症状を抑えているだけにすぎません。悪くなる原因を取り除くこと=生活習慣改善こそが体質改善であり、治療の基本です。何か特殊なサプリメントや漢方薬を使っていれば環境がどんなに悪くてもアトピーにならないなんておかしな話です。地道な生活改善で、「皮膚炎がなるべく出ないようにコントロールする」事がアトピー治療の目的なのです。

アトピー性皮膚炎には診断基準があります

しつこい湿疹が出ると「アトピー?」と考えてしまいがちですが、アトピー性皮膚炎には診断基準があり、全ての湿疹がアトピーというわけではありません。自分でアトピーと思い込んで不必要な食事制限やサプリメントを内服したり、薬局で誤った薬を使っているとかえってこじれてしまうことがあります。早めに専門医で診断を受けましょう。

アレルギーの原因を調べるには?

血液検査で環境アレルギーや食物アレルギーを、パッチテストで接触アレルギーや金属アレルギーを調べます。皮膚症状や年齢で「何を調べるべきか」が変わってきます。皮膚の状態を診て必要な検査をします。

採血不要で41項目のアレルギー検査が可能

当院では、従来の採血を必要とする検査方法に比べて、より簡便でストレスの少ない指先などから少量の血液を採取するアレルギー検査を実施しています。採血が難しい乳幼児に最適です。一度に41項目の環境アレルゲン・食物アレルゲンを30分で調べられます。(採血が苦手な大人でも検査可能です。検査結果を当日に知りたい方は午前は10:30,午後は16:00までにご予約ください)

スキンケアで皮膚バリアを補強します

皮膚のバリアが弱いと、外からアレルゲンが入りやすくなります。毎日のスキンケアはアレルギー対策と並ぶアトピー治療の柱です。しっかりとスキンケアをすることでステロイドを使う量を減らすことがポイントになります。

脱ステロイド?正しく行うならいい事です。

「生活改善=体質改善」や「スキンケア」が治療の基本ですが、日常生活の中では完全にできません。そのギャップを埋めるのがステロイドを中心とした薬です。生活改善やスキンケアをしっかりすることで使わないで済むようになる=脱ステロイドが治療の最もよい形です。脱ステロイドできるかどうかは、日頃の生活改善をどれぐらいしっかりできるかにかかっているのです。日常生活やスキンケア習慣がうまくできていないのに無理やりステロイドをやめてしまうと当然体に大きな負担がかかりますので、まず自分の生活を変えることが必要です。

新しい光線療法=ナローバンドUVB・エキシマランプ

新しい紫外線療法=ナローバンドUVB・エキシマランプ療法が保険適応となっています。乾癬・アトピー性皮膚炎・掌蹠膿疱症・円形脱毛症・白斑やある種の皮膚癌などでも高い効果が認められています。ただ紫外線には発癌性がありますので、専門医による診断・治療計画が必要です。当院でも積極的に治療を行っています。

アトピー性皮膚炎に関連した情報

以下のサイトでアトピー性皮膚炎に関係した情報が紹介されて います。偏った情報に振り回されず、正しい情報を参考にする ようにしましょう。
アトピー性皮膚炎全般については、
http://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/
主に乳児の食物アレルギーについては、
http://www.meiji-hohoemi.com/baby/allergy/index.html
http://www.hagukumi.ne.jp/caremamapapa/babyfoodallergy/01.shtml

アトピー性皮膚炎の新しい治療(ステロイド以外)

上記のような生活習慣の改善やスキンケア、アレルギー対策をしてもどうしてもコントロールが難しい重症のアトピー性皮膚炎に近年多くの治療手段が使えるようになってきています。

タクロリムス軟膏(塗り薬)

1999年から使用されている塗り薬です。ステロイドと異なり長期使用でも皮膚に対する副作用が少ないため、主にステロイドで良くなった後に、良い状態を続け、ステロイドの使用量を減らすために使われています。詳しくはコチラのサイトをごらんください。

シクロスポリン(飲み薬)

2008年から、シクロスポリン(アレルギー反応の一部を調整する薬)がアトピー性皮膚炎に対して使用可能になりました。シクロスポリンを使えるのは、既存の治療に抵抗する成人の最重症例です。長期使用の場合は休薬期間を設けながら使用します。本薬剤は成人の最重症・難治例に対して短期的に使用するべきもので、アトピー性皮膚炎の治療に精通した医師のもとで使われることを前提としています。

デュピクセント(注射薬)

生後6ヶ月から使える注射薬です。アレルギー反応の一部を調整して症状を改善します。非常に高価ですが、効果も非常に高い薬です。ステロイド外用剤など標準的な治療を行っても効果が得られない場合にのみ適応となっています。クリニックでの指導期間を経て、自宅でも自己注射が行なえます。遠方からの通院で時々しか受診できない患者さんのコントロールにも有効な薬です。当院でも多くの患者さんが治療を行っています。詳細はコチラのサイトをごらんください。

コレクチム軟膏(塗り薬)

ステロイド以外の塗り薬にはタクロリムス軟膏がありますが、タクロリムス軟膏とは違った仕組みでアレルギー反応の一部を調整して炎症を抑える効果があります。タクロリムス軟膏と同様にステロイドの塗り薬で良くなった後、良い状態を続けてステロイドの使用量を減らすために使わます。生後6ヶ月以上から使えます。

モイゼルト軟膏(塗り薬)

ステロイドではなく、免疫を調整してアレルギー反応を抑える効果があります。タクロリムス軟膏やコレクチム軟膏と同様にステロイドの使用量を減らすために使われます。生後3ヶ月から使えます。

オルミエント・サイバインコ・リンヴォック(飲み薬)

JAK阻害剤という飲み薬で、コレクチム軟膏と似たような仕組みで皮膚の炎症を抑える効果があります。非常に高価な薬で、導入前にきちんとした検査が必要です。またステロイド外用剤など標準的な治療を行っても効果が得られない場合にのみ適応となっています。多くの場合、検査体制が整った基幹病院での治療で使われます(当院では導入を基幹病院に依頼しています)。サイバインコ・リンヴォックは成人だけでなく12才以上の小児にも適応があります。

ミチーガ(注射薬)

IL-31という物質の働きを抑えることで痒みを強く抑制する注射薬です。皮膚症状がある程度強くても痒みをしっかり抑えられるので痒みで苦しんでいる方に良いでしょう。13歳以上から使えます。一ヶ月に一度のクリニックで注射します。また家での作業が煩雑ですがクリニックでの指導期間を経て、自宅での自己注射もできます。当院でも治療を行っています。詳細はこちらのサイトを御覧ください。

上部へスクロール