ヘルペス(単純ヘルペス・帯状疱疹)

ヘルペスには単純ヘルペスと帯状疱疹(帯状ヘルペス)という二種類があります。両者は原因になるウイルスも症状も全く異なります。

単純ヘルペス(主に唇の周囲や顔面と陰部)

口唇ヘルペス
唇や口の近くに水疱を作ります

単純ヘルペスウイルスは多くの場合小児期にまわりの大人からウイルスをもらっています。ウイルスは一度体の中に入ると一生自分から出て行かず、免疫力が下がると繰り返し同じような場所に出てきます。

陰部ヘルペスは陰部に同じような水疱を作る病気です。ヘルペスが出ている時に他の人と接触すると、うつしてしまうことがありますので注意が必要です。

市販のヘルペスの塗り薬は意味があるか?

まず口唇ヘルペスの場合、普通の口唇炎の水疱が出てくるタイプと間違えて薬局などで勧められたヘルペスの薬を買っていることが多く、受診した時にこじれていることがよくあります。最初から皮膚科を受診したほうがよいでしょう。

また自己診断が仮にあっていても、処方される内服薬と市販の塗り薬ではかなり効果に違いがあります。ヘルペスの薬は使いはじめるのが遅くなるほど効果がなくなる傾向があり、治療が長引くと傷跡が長く残ります。早めの受診がよいでしょう。

 帯状疱疹(帯状ヘルペス)

帯状疱疹
必ず片側だけにぐるりと半周水疱ができます。

日本人は多くの人が子供の頃に水ぼうそう(水痘)に感染しています。その水ぼうそうウイルスも一生体から出て行かずに体内に潜んでおり、免疫力が弱った時に写真のように帯状に水疱と痛みを伴って皮膚症状が出現します。

対策が遅れると特に高齢者で神経痛が長く残りますので「体の片側だけのピリピリした痛み」があれば、皮膚症状がなくても早めに皮膚科を受診しましょう。

また50歳以上の方は帯状疱疹の予防接種も可能になっています(自費)。当院でも行っています。2種類のワクチンがあります。詳しくはコチラの外部サイトを御覧ください。

カポジ水痘様発疹症という特殊なヘルペス

カポジ水痘様発疹症
形の揃った小さいびらんやカサブタが多発します。

主にアトピー性皮膚炎の患者さんで皮膚のバリアが働いていない時、単純ヘルペスウイルスが皮膚の表面に広範囲で撒き散らされて重症化する特殊なヘルペス感染症です。日頃からのアトピー性皮膚炎のコントロールが大切なのはもちろんですが、放置すると入院が必要になることも多く、早めの受診が必要です。一般のかたはトビヒなどと見分けるのが困難なので、広範囲に小さいびらんやカサブタが多発することがあればカポジ水痘様発疹症を疑い、皮膚科を受診するようにしましょう。

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