口唇炎・口角炎

一口に「唇の荒れ」と言っても非常に様々です。よく「口が荒れると内臓が悪いのでは」と聞きますが、内臓と関係ない場合の方が多いので、他の病気と鑑別をした上で、内臓が悪いものについては必要な検査を行います。まずは専門医での鑑別診断が大切です。代表的な病気を幾つか挙げておきます。

ごく通常の「口唇炎」「口角炎」

口角炎・口唇炎
唇全体がかさかさし、赤い唇の縁に小さい水疱が多発します。

いわゆる「唇の荒れ」です。特に冬に多く見られます。唇表面の水分が足りなくなって、表面のバリア機能が弱って荒れます。通常ではしみないような食べ物や口紅・リップクリームなどでもかぶれることがあります。最近唇の赤い部分の周囲に小さな水疱がたくさんできる患者さんが増えており、ヘルペスと間違えることがよくあるようです。市販のリップクリームにかぶれておきていることも多いようですので、純度の高い精製ワセリンをリップクリーム代わりに使いましょう。皮膚科で処方を受けられます。

カンジダ性口角炎

カンジダ性口角炎
口角炎に誤ってステロイドを塗りすぎると起こることがあります。

見た目は普通の口角炎とほとんど変わりません。口の中が乾燥しやすい高齢者に多いですが、若い人でも普通の口角炎と間違えてステロイドの入った薬を連用しているとひどくなる事があります。専門医で菌がいるかどうかの顕微鏡検査を受けることができます。若年者で何度も発症する場合にはエイズなどの免疫抑制を起こす病気が隠れていることもありえます。高齢者では消化管カンジダ症などに発展することもあるので、早めに専門医を受診したほうが良いでしょう。

唇のヘルペス

口唇ヘルペス
水疱がかたまって出てくるのがヘルペスの特徴です。

唇のヘルペスです。ヘルペスウイルスの感染でおこります。水疱が表面に出ているときに他の人に接触するとうつしてしまうことがありますので注意しましょう。飲み薬が非常によく効きますが、塗り薬でもそれなりの効果があります。ヘルペスについてさらに詳しくはコチラをご参照下さい。

舌なめ皮膚炎

舌なめ皮膚炎
小児が口の周りをなめておこります。

唇が乾燥するとつい口の周りをなめてしまいますが、皮膚が荒れている時は唾液は逆に刺激になって皮膚炎をおこします。子供に多い疾患ですが、大人でも口の周りをなめる癖があるとなります。

扁平苔癬

扁平苔癬
唇だけでなく口の中に炎症を起こしたり皮膚に症状が出ることもあります。

唇だけでなく、口の中や体、爪などにも変化が出ることがあります。薬害によるもの、金属アレルギーによるもの、ウイルス肝炎と関係したもの、特に原因無く発症するものなど様々なタイプがあります。慢性で治りにくい病気です。

萎縮性口唇炎

萎縮性口唇炎
高齢者でよく見られます。

高齢者で多い状態で、長い年月の間に唇の粘膜が弱くなってしまった状態です。熱いものや辛いものを食べるとピリピリと痛みがあります。特効的な治療法はないので、保護剤を塗ったり、ステロイド外用剤を塗ったりしながら保存的に治療します。

 

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