じんましん|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科 じんましん|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科

Urticaria-2 じんましん

じんましんとは?

じんましんは、皮膚に現れるかゆみや赤み、腫れを伴う一過性の疾患で、日常生活においてもよく見られるアレルギー反応の一つです。発症する原因や症状の特徴は様々であり、正しい知識を持って管理することが大切です。ここでは、じんましんに関する原因、症状、生活上の注意、治療法について詳しく説明します。

原因と種類は?

1)特発性じんましん

特発性じんましんとは特に原因が無いじんましんという意味で、全体の60~70%です。すべての年齢・性別の方に広く発症します。

急性特発性じんましん
6週間以内に自然消退することが多く、風邪を引いたりストレスなどの体調不良が原因です。急激に発症し、適切な治療で短期間で改善します。

慢性特発性じんましん
6週間以上続く場合でまれに体内のIgE受容体や甲状腺抗原に対する自己抗体が見つかることがあります。甲状腺機能に関係した慢性じんましんはやや女性に多い傾向があります。

2)刺激誘発型じんましん

刺激誘発型じんましんは特定の物理的刺激や環境因子が引き金となって発症します。

物理性じんましん
圧迫や擦過、寒冷、日光などによる刺激で症状が現れます。例えば寒冷じんましんは冷たい水や寒い環境で生じ、日光じんましんは紫外線に曝露した際に発症します。

コリン性じんましん
体温の上昇がきっかけで発症します。運動や入浴、精神的な緊張、辛い食べ物の摂取によって体温が上昇することで、特徴的な小さな膨疹(1~2mm)が広範囲に生じます。

接触じんましん
特定の物質(ラテックス、特定の食品、化学物質など)との皮膚接触が原因で発症します。特定の物質に触った時だけ、触った所に赤みや腫れが出ます。

アレルギー性じんましん
多くの方が食物でのアレルギーを心配されますが、頻度は高くありません。ポイントは「繰り返すかどうか」です。例えばトマトのアレルギーならトマトを食べるたびにじんましんが出て、トマトを食べていない時には出てこないならば食物アレルギーの可能性が高いですが、トマトを食べている時にも出たが、トマトを食べていない時にも出るならば可能性は低いでしょう。まず食物日記をつけてみるとわかりやすいです。乳幼児では卵や乳製品に多い傾向があります。当院では注射をせずにアレルギー検査が可能なので乳幼児の検査も行っています。

非アレルギー性じんましん
サバやたけのこなど、特にヒスタミンという物質を多く含む食品ではアレルギーと関係なくじんましんを起こすことがあります。古くなった魚介類ではヒスタミンが増えますので注意が必要です。

3)血管神経浮腫

皮膚の深い部分にむくみが発生します。じんましんと同時に起こることがあります。唇やまぶたが急に腫れ上がり、数時間~2日程度で収まります。あまり痒くないこともあります。ある種の高血圧の薬で起こることもあります。まれに胃腸にも症状が出現すると腹痛や下痢が起こることがあります。

じんましんの症状は?

強いかゆみ
じんましんの最も代表的な症状であり、虫刺されのようなチクチクした感覚や、持続的なむずむず感を伴います。かゆみは急激に現れ、夜間に悪化することが多いため、睡眠を妨げることもあります。

赤み
赤みは境界がはっきりしており、地図状に広がることがあります。直径は数mmから数cm以上に及ぶ場合もあり、時には複数の赤みが合体して広範囲に広がります。これらの紅斑は数時間で消失し、跡を残さないのが特徴です。

膨疹(腫れ)
じんましん特有の症状で、皮膚がふわっと膨らむような感じで現れます。押すと一時的にへこみますが、しばらくすると元の状態に戻ります。膨疹は、数分から数時間で自然に消失し、症状が再発することが多いです。

アナフィラキシー
通常のじんましんでアナフィラキシーになることは殆どありませんが、アナフィラキシーの部分症状としてじんましんが出現することはあります。アナフィラキシーについてはコチラを御覧ください

生活上の注意

じんましんの予防と管理には、日常生活の中での工夫が不可欠です。

■ストレスの管理
ストレスの管理は非常に重要です。じんましんは心理的なストレスによって悪化することがあるため、リラックスできる時間を持つよう心がけましょう。趣味や軽い運動、深呼吸などを取り入れて、日々のストレスを軽減することが望ましいです。

■スキンケアや服の素材
乾燥した皮膚は刺激を受けやすく、じんましんを悪化させる要因となります。刺激の少ない保湿剤を使い、皮膚の保護を心がけることが大切です。また体を締め付けるようなタイトな衣類や、化学繊維などの刺激の強い素材は避け、コットンなどの肌に優しい素材の衣類を選ぶことが推奨されます。

■食後すぐの運動を控える
食後すぐに運動するとじんましんやアナフィラキシーのリスクが高くなります。食後は2~3時間程度激しい運動は避けるようにしましょう。

■急激な温度変化を避ける
急激な温度変化は皮膚表面の血管を拡張・収縮させやすいのでじんましんの誘引になります。例えば寒い中で急に運動して体温が上がるとじんましんが出やすくなりますので、体温調節にも気を配りましょう。。

じんましんの治療法

塗り薬は効果がありませんので飲み薬を中心とした治療になります。2020年代に入って画期的な薬が登場しています。

■抗ヒスタミン剤(内服)
かゆみを軽減するために使われます。特に夜間のかゆみに効果的で、睡眠の質を改善する役割もあります。アレルギー性の炎症を起こしづらくする作用もあります。

■ロイコトリエン拮抗薬(内服)
抗ヒスタミン剤とは異なったメカニズムでアレルギー反応を抑えます。抗ヒスタミン剤だけでは効果が出づらい場合に使います。

■その他の内服薬
ある種の胃薬や腫れを抑える薬を抗ヒスタミン剤と併用することがあります。

■生物学的製剤(注射)
生物学的製剤は、免疫システムの特定の部分を標的として、炎症を引き起こす物質の働きを抑えます。これにより、かゆみや皮膚の赤みを効果的に軽減します。生物学的製剤は、効果が持続的で、長期的なコントロールに向いています。抗ヒスタミン剤を中心とした標準治療を一定期間行っても効果がない場合のみ使用できます。

・デュピクセント
12歳以上の方で使えます。2ヶ月目以降は家で自己注射が可能です。詳しくはコチラの外部サイトを参照してください。

・ゾレア
12歳以上で使用できます。2回程度病院で注射方法の指導を受けたら、家で自己注射が可能です。詳しくはコチラの外部サイトを参照してください。

よくある質問

Q:じんましんは完治しますか?
A:急性の場合は完治しやすいですが、慢性じんましんは数年かかることもあり、長期的な治療が必要です

Q:抗ヒスタミン剤にはどんな副作用がありますか?
A:抗ヒスタミン剤には古い第1世代と新しい第2世代があります。第1世代は眠気が強く出ますが、第2世代は眠気が少なく、日中の服用がしやすいです。ただし個人差があるので抗ヒスタミン剤を内服中は車の運転など危険な作業は避けましょう。

Q:デュピクセントとゾレアの違いは?
A:デュピクセントはIL-4とIL-13というかゆみに関係した物質を抑制します。ゾレアはIgE抗体に作用します。全く異なるタイプの薬剤です。ゾレアの方が薬剤費が安くなります。

Q:子どももじんましんになりますか?
A:すべての年齢で発症します。0歳児では食物に関係したじんましんを発症することがありますが、大人ではまれです。当院では注射をせずに検査をすることができるので、必要に応じて検査を行っています。

参考になる外部サイト

下記の外部サイトはじんましんに関する情報がまとまっています。参考にしてください。

日本皮膚科学会サイト

日本アレルギー学会サイト