
接種前の準備
1. 体調を整える
- 十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がける
- 過度な飲酒は控える
- 体調に不安がある場合は、無理せず延期を検討
2. 予診票の記入
- 現在治療中の病気
- 服用中の薬(お薬手帳を持参すると便利)
- アレルギー歴
- 過去の予防接種での副反応歴
3. 服装の工夫
- 半袖または袖をまくりやすい服
- 不活化ワクチンは筋肉注射なので、肩の上部に接種します
接種当日の流れ
医療機関に到着したら
- 受付
- 予診票の提出
- 本人確認書類の提示
- (該当者のみ)減免に必要な書類の提出
体温測定
37.5℃以上の場合は接種できません医師による問診
- 体調の確認
- 予診票の内容確認
- 不明な点があれば遠慮なく質問しましょう
ワクチン接種
- 生ワクチン:皮下注射(上腕)
- 不活化ワクチン:筋肉注射(肩の三角筋)
接種後の観察
- 15〜30分程度、院内で様子を見ます
- まれにアレルギー反応が起こることがあるため
接種できない場合・延期すべき場合
接種できない場合
- 明らかな発熱(37.5℃以上)がある
- 重篤な急性疾患にかかっている
- ワクチン成分に対するアナフィラキシーの既往がある
- (生ワクチンのみ)免疫不全状態にある
延期を検討すべき場合
- 風邪気味など体調がすぐれない
- 他のワクチンを最近接種した └ 生ワクチン同士:27日以上の間隔 └ 不活化ワクチンとは間隔の制限なし
接種後の注意点
接種当日
- 激しい運動は避ける
- 入浴は可能だが、接種部位を強くこすらない
- 飲酒は控えめに
- 体調の変化に注意
よくある副反応とその対処法
生ワクチンの場合:- 注射部位の痛み・赤み → 冷やすと楽になります
- 軽い発疹 → 通常は自然に改善
- 注射部位の強い痛み(約80%) → 痛み止め(アセトアミノフェンなど)の使用可
- 腫れ・赤み → 冷やすと改善
- 疲労感、頭痛、筋肉痛 → 安静にして様子を見る
- 発熱 → 38℃を超える場合は解熱剤の使用可
こんな時はすぐに医療機関へ
- 接種後30分以内の急激な体調変化
- 呼吸困難、じんましん、顔面の腫れ
- 高熱が3日以上続く
- 接種部位の異常な腫れや痛みの悪化
2回目の接種について(不活化ワクチンの場合)
接種間隔
- 標準:1回目から2〜6か月後
- 免疫不全の方:医師の判断で1か月後も可
重要な注意点
- 令和8年3月31日までに2回目も完了する必要があります
- 1回目が遅くなると、2回目が間に合わない可能性も
- 2回目を忘れないよう、カレンダーに記入しておきましょう
1回目の副反応が強かった場合
- 2回目も同程度の副反応が出る可能性があります
- 心配な場合は医師に相談を
- 副反応は一時的なもので、効果には影響しません
接種記録の保管
- 接種後は必ず「接種済証」を受け取り、大切に保管してください:
- 今後の医療機関受診時に必要になることがある
- 他のワクチン接種時の参考になる
- 万が一の健康被害救済制度申請時に必要
よくある疑問にお答えします
Q: 接種後、いつから効果が出ますか? A: 生ワクチンは約2週間後から、不活化ワクチンは2回目接種の約2週間後から十分な効果が期待できます。 Q: インフルエンザワクチンと一緒に接種できますか? A: 医師が必要と認めた場合は同時接種も可能です。別々に接種する場合、不活化ワクチン同士なら間隔の制限はありません。 Q: 接種後も帯状疱疹になる可能性はありますか? A: 可能性はゼロではありませんが、発症しても軽症で済むことが多く、特に痛みが残りにくくなります。 Q: 効果はいつまで続きますか? A: 生ワクチンは5年程度、不活化ワクチンは10年以上の効果が確認されています。接種を迷っている方へ
「副反応が心配」「費用が…」など、迷う気持ちはよく分かります。 しかし、帯状疱疹後神経痛は、「焼けるような」「電気が走るような」痛みが何か月、時には何年も続くことがあります。 この痛みは通常の痛み止めが効きにくく、生活の質を大きく低下させます。 帯状疱疹を発症した時の苦痛と、その後の生活への影響を考えると、予防接種のメリットは計り知れません。 また、補助金が接種費用の半額を負担してくれるのは一度だけのチャンスです。 ぜひこの機会に予防接種を受けることを強くお勧めします。最後に:健康な未来への投資
3回にわたって帯状疱疹ワクチンについてお話してきました。 帯状疱疹ワクチンの定期接種は、皆さんの健康を守るための貴重な機会です。接種券が届いた方にとっては、補助金が受け取れるのは一度だけのチャンスです。 「まだ大丈夫」と思っているうちに、リスクは確実に上がっていきます。補助券が届いたということは、「今があなたを守るタイミング」というサインです。 健康な今だからこそ、将来の自分のために一歩を踏み出しましょう。(日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明)