日本で問題になるシラミにはアタマジラミ、毛じらみ、トコジラミがあります。
アタマジラミの症状は?

主に10歳以下に多く、側頭部~後頭部やその周囲をよく引っかきます。2~4mm程度の虫が見えることもありますが、頭髪の根元付近に付着した0.5mm程度の白い卵で見つかることが多いです。
ヘアキャストという生理的な現象と区別できない場合もありますので、皮膚科での確定診断を受けることが大切です。
アタマジラミの治療法は?

フェノトリン(商品名スミスリン)という薬剤を使います。処方薬ではなく、薬局などで販売されています。
虫卵には効果がありませんので、虫卵が孵化するタイミングにあわせて3日に1度の処置を3~4回繰り返します。家族にも感染している事が多いので、同時に治療をする方が良いでしょう。
写真の様な梳き櫛を使うと効率的に髪にこびりついた虫卵を除去できます。市販されているものを利用しても良いでしょう。
アタマジラミはどうやって感染するの?
頭同士の接触で直接感染する事が多く、家族にも感染することがあります。ヒトから離れても成虫で72時間、虫卵で10日程度生存するので直接接触しなくても感染する事があります。衣服や寝具やクシ、共同ロッカーなどにも注意しましょう。55度以上の熱風や湯で5分以上処理すると卵・虫体ともに死滅します。ドライクリーニングも有効です。
アタマジラミの通園・登校の制限について
集団発生がある場合には一斉に検診を行い、同時に駆除するのが望ましいでしょう。個々に治療する場合でも、治療開始と同時に虫は死滅するので治療を開始していれば出席停止は不要です。
ケジラミの症状は?

陰部がとてもかゆくなります。約1~2mm程度の大きさなので、肉眼でも毛にゴマを振ったように見えることもあります。毛の根元付近にくっついていることが多いので比較的簡単に見つけることができます。
数が増えると陰部以外の毛にもついていることがあります。まれにまつ毛などにもつくことがあります。
どこから感染する?
あまり動かず、人から離れると1日程度しか生きられないので、基本的には性行為感染症です。ただし、衣服などを通じて感染することがまれにあります。小さい子供は親と一緒に入浴したり寝たりすることも多いので、親から子に感染することもあります。
ケジラミの治療は?
アタマジラミと同様にフェノトリン(商品名スミスリン)を用います。可能なら毛を剃ってしまえばより確実です。
トコジラミ(ナンキンムシ)とは?
約5mm程度で昼間は室内の壁や柱の割れ目などの隙間に隠れており、夜になると出てきて露出部分を刺します。グローバル化に伴い宿泊施設などを通じて自宅に虫を持って帰ってしまうこともあり、最近増加傾向です。
トコジラミの症状は?
基本的には露出している部分を刺すので手足などに蚊に刺されたような赤いブツブツが出てきます。お腹などを刺されることもあります。
トコジラミの対策は?
燻煙型殺虫剤は押入れや柱の隙間などには入っていきづらいので効果は不十分です。また市販の殺虫剤も効果はあまりありません(シラミが居そうなところに直接噴霧すればそれなりに効果がありますので、細いノズルなどがついた製品をこまめに隙間に噴いておきましょう)。専門業者に依頼すれば駆除は可能ですが、高額で、駆除中は外泊が必要になります。効果的な対策がないのが実情といえます。