
アゼライン酸と美白
アゼライン酸は、自然界に存在する「ジカルボン酸」という物質で、麦類などに含まれている成分です。
もともとはニキビや赤ら顔(酒さ)の治療に使われてきましたが、メラニンの生成を抑える作用があるため、最近では「美白」や「シミ治療」にも注目されています。
どうやって効くの?
肌の色が濃くなる主な原因は、「メラニン」という色素が増えることです。アゼライン酸にはこのメラニンを作る酵素「チロシナーゼ」をやさしく抑える働きがあります。
そのため、紫外線や炎症によるシミ・くすみを防ぐことができ、すでにできた色素沈着の改善にも効果が期待されています。
また、紫外線や炎症によって肌にダメージがたまると活性酸素(ROS)が発生します。
この活性酸素は皮膚の正常な細胞にダメージを与えるため、炎症や老化の原因になります。アゼライン酸はこの活性酸素も減らす効果があると報告されています。
さらに、皮膚の細胞の老化やくすみにも関わるPPARγ(ピー・ピー・エー・アール・ガンマ)という体内スイッチを整える作用もあることがわかってきました。
実際に効果はあるの?
以下のような臨床試験で、アゼライン酸が美白やシミに有効であることが確認されています。
1. 肝斑(かんぱん)に対して
肝斑というシミに悩む329人の女性を対象にした比較試験では、20%アゼライン酸クリームと美白成分として有名な4%ハイドロキノンを比べたところ、同じくらいの効果が出ました(65%が「良好または非常に良好」と評価)。
しかも、ハイドロキノンに比べて肌への刺激が少なく、安全性も高いとされました。
2. 炎症後の色素沈着にも
ニキビ後にできる茶色い跡にも、アゼライン酸は効果的です。特に、アジア人の肌に多い「色素沈着」タイプには、メラニン生成をブロックするアゼライン酸が役立ちます。
3. ニキビ治療との相乗効果も
アゼライン酸は「ニキビの赤みや腫れ」を抑える作用もあるため、ニキビとシミの両方が気になる方にとっては一石二鳥の選択肢です。
副作用はある?
一般的には刺激が少ない成分ですが、一部の方には「ヒリヒリ感」「軽い赤み」などが出ることがあります。
ただし、重篤な副作用(色素沈着やアレルギー反応など)はほとんど報告されていません。
また、妊娠中にも使える安全性の高い成分として、アメリカFDAでは評価されています。
まとめ
アゼライン酸の特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
美白効果 | メラニンの生成をやさしくブロック |
抗酸化・抗炎症作用 | 活性酸素を減らし、赤みや色素沈着を防ぐ |
ニキビとの相乗効果 | 炎症を抑えてニキビ跡もケア |
安全性 | ハイドロキノンより刺激が少なく、長期使用に向く |
「肌に優しく、しっかり美白したい」「ニキビ跡や色素沈着を改善したい」と考えている方にとって、アゼライン酸は非常に有望な選択肢のひとつです。
当院でも20%アゼライン酸クリーム(15g 1980円)を使用してシミ治療を行っています。
シミ治療をご希望の方は「美容診療WEB予約」からご予約ください。