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アゼライン酸と赤み

 アゼライン酸は「赤み」にどう効く?

 

前回のブログでは、アゼライン酸がニキビや毛穴にどう効くかを紹介しました。


今回は、「顔のほてりや赤み」が主体の症状を、酒さ(しゅさ)という顔が赤くなる皮膚病を例にして、アゼライン酸の赤みへの効果を見ていきましょう。

 

 酒さとは?

 

顔の赤みで悩んでいる方の中には、酒さという病気が隠れていることがあります。酒さとは、顔の赤みやブツブツ、時にはヒリヒリ感を伴う慢性炎症性の皮膚疾患です。軽症タイプは次の2つに分かれます。

  • 紅斑毛細血管拡張型:赤みが主症状。血管が拡張し、頬や鼻に広がって見える。盛り上がったぶつぶつは出てこない。
  • 丘疹膿疱型:赤みに加え、ニキビのようなブツブツや膿疱が出て、触ると痛いこともある。

このうち、アゼライン酸は主に丘疹膿疱型に対する外用治療として推奨されています(保険適応外)。一方、紅斑毛細血管拡張型では、赤みの原因が毛細血管の拡張にあるため、血管を標的とした治療が中心になります。

 

 血管拡張タイプの治療は?

日本で血管拡張タイプの赤みを治療できる選択肢は2025年時点ではかなり限られています。

外用薬(日本では保険適応外)

血管を収縮させる塗り薬:
血管拡張型の赤みでは血管を収縮させ、一時的に赤みを軽減させます。即効性があり、米国・欧州のガイドラインで高く評価されています。

 

内服薬(重症例や難治性)

・ドキシサイクリンの低用量40mg徐放製剤
皮脂が大好きなニキビ菌の増殖をおさえ、炎症を抑えて赤みを軽減します。日本では徐放製剤は適応になっていませんが、炎症が強いときにドキシサイクリンの内服を行うことがあります。

 

 レーザー・光治療は世界標準の治療選択

 

紅斑毛細血管拡張型における効果的な治療法として、日本・米国・欧州ガイドラインすべてでレーザーやIPL(光治療)が挙げられています。

これらの治療機器はレーザーや光のパワーで、直接的に拡張した血管を少なくしたり細くする効果があります。赤みの原因は血管が拡がっていることなので、こういった機械の治療は、赤みを根本から減らす効果があります。

保険適用外(自由診療)ですが、高い効果と持続性が期待できる方法です。当院でもノーリスという血管拡張に高い効果があるIPLを使っています。

ノーリスについては詳しくはコチラを御覧ください

 

 アゼライン酸はどう使えるの?

 

アゼライン酸には、血管収縮作用はありませんが、酒さを始めとする顔の赤みは、皮脂への過剰反応によって慢性的な炎症や活性酸素が発生していることが関係しています。

アゼライン酸の持つ以下のような作用で、肌全体の赤みを改善することが期待できます。

  • 皮脂を減らす作用
  • 炎症を抑える(抗炎症作用)
  • 活性酸素を減らす(抗酸化作用)


特に、以下のような方には、アゼライン酸が選択肢になりえます:

  • レーザーや光治療をすぐに試すのが難しい
  • 血管拡張に加えて炎症や皮脂分泌のトラブルがある
  • 赤みだけでなく、ニキビ跡やくすみも気になる
  • 他の治療薬で刺激や副作用が出てしまった
 

 最後に

 

顔の赤みの悩みには、血管そのものに作用する治療(レーザー・光治療・塗り薬)がとても効果的です。しかし、レーザーや光治療は保険適応外なので費用がやや高額です。また、血管を収縮させる塗り薬は2025年現在、日本では未承認です。

アゼライン酸クリームには、直接的に血管を収縮させる作用はありませんが、皮脂分泌の抑制、炎症の鎮静や活性酸素の抑制を通じて、赤みの改善をサポートしてくれます。

当院では特に赤みだけでなく、皮脂分泌が多くて毛穴の開きにも悩んでいる方には積極的におすすめしています。

アゼライン酸の毛穴やニキビへの効果についてはコチラをごらんください。