冬の手荒れ対策~予防編~|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科 冬の手荒れ対策~予防編~|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科

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冬の手荒れ対策~予防編~

冬の手荒れ対策

年末年始は心も体も休められる貴重なお休みですね。 ただ、手にとっては逆に過酷な季節です。

「水仕事が増えて、手がガサガサする」 「指先が割れて、洋服に引っかかる」 毎年この時期になると、こうした「手荒れ(手湿疹)」の悩みを抱えて受診される患者さんが急増します。

「たかが手荒れ」と思われがちですが、一度こじらせて亀裂(ひび割れ)や炎症を起こすと、指先は常に使う部分だけに、日常生活に大きな支障をきたします。

痛みで家事が辛くなる前に、手荒れの本当の原因を知り、正しい予防策をとることが大切です。 今回から3回にわたり、冬の手荒れ対策について、皮膚科専門医の立場から解説していきます。

第1回は「手荒れを防ぐメカニズムと予防」についてお話しします。

なぜ、冬に手がボロボロになるのか?

冬の手荒れの原因

【図1】冬の皮膚を取り巻く過酷な環境

日本の冬は、皮膚にとってただでさえ過酷な環境です。 以前、乳児スキンケアの記事でも解説しましたが、冬は「屋外の低温・低湿度」と「屋内の暖房による乾燥」という二重のストレスが皮膚にかかります。

これによって、皮膚の表面にある角層から水分が奪われ、バリア機能が低下しやすい状態(ドライスキン)がベースにあります。 そこに、冬特有の「3つのダメージ」が加わることで、手の皮膚バリアが一気に崩壊してしまうのです。

❶ お湯や水による皮脂膜の消失 寒い冬の掃除や洗い物では、どうしても温かいお湯を使いたくなります。 また、換気扇の油汚れなどを落とすために、温度設定を高くすることもあるでしょう。

しかし、お皿の油汚れが落ちる温度のお湯は、私たちの皮膚を守っている「皮脂膜(天然のオイル)」も一緒に溶かし落としてしまうのです。 皮脂膜が失われると、皮膚内部の水分が蒸発しやすくなり、外部からの刺激も入り込みやすくなります。

❷ 強力な洗剤による化学的刺激 掃除で活躍するレンジ周りや浴室用の強力な洗剤。 これらは「界面活性剤」や「アルカリ剤」を高濃度に含んでおり、汚れを分解する力に優れています。

しかし、その分解力は、皮膚の角層にある「細胞間脂質(セラミドなど)」やタンパク質まで壊してしまうことがあります。 バリア機能が壊れた皮膚に洗剤が浸透すると、強い炎症(接触皮膚炎)を引き起こす原因となります。

❸ 物理的な摩擦 ぞうきんを絞る、ブラシでこする、重いものを持つ。 こうした作業による物理的な摩擦も、乾燥して脆くなった皮膚には大きなダメージとなります。

「ゴム手袋」だけでは不十分?意外な落とし穴

ゴム手袋の注意点

【図2】ゴム手袋内部で起こるトラブル

「洗剤が悪いなら、ゴム手袋をすれば完璧でしょう?」 そう思われるかもしれません。もちろん、素手で強力な洗剤を触るのは厳禁です。

しかし、皮膚科医の視点から見ると、ゴム手袋を「ただ着けるだけ」では、別の問題を引き起こす可能性があります。

ゴム手袋の中は「蒸し風呂」状態

水仕事をしていると、ゴム手袋の中は湿度100%近くになります。 さらに体温で温められ、手は大量の汗をかきます。

汗に含まれる成分や、高温多湿による蒸れによって、皮膚が「ふやけた状態(浸軟)」になります。 ふやけた皮膚は非常に脆く、少しの刺激でも傷つきやすくなります。

ラテックスアレルギーと接触皮膚炎

ゴム手袋の素材(ラテックスなど)そのものがアレルギーの原因になることもあります。 また、手袋の中でかいた汗が長時間皮膚に触れ続けることで、汗による「あせも」や刺激反応(接触皮膚炎)が起こることも少なくありません。

「手荒れを防ぐために手袋をしているのに、その手袋で手が荒れる」という皮肉な事態が実は多いのです。

皮膚科医がおススメする「鉄壁の予防術」

二重手袋の推奨

【図3】綿手袋+ゴム手袋の二重装着

では、どうすれば良いのでしょうか? 答えは非常にシンプルですが、効果絶大な方法があります。

それは「綿の手袋+ゴム手袋」の二重装着です。

なぜ「綿の手袋」が必要なのか

ゴム手袋の下に、薄手の綿(コットン)の手袋を1枚着用します(100円ショップやドラッグストアで購入できます)。 これには3つの大きなメリットがあります。

  • ❶ 汗を吸い取る 綿が汗を吸収してくれるため、皮膚がふやけるのを防ぎ、蒸れによる刺激を最小限に抑えます。
  • ❷ ゴムの刺激をブロック ゴム素材が直接肌に触れないため、ラテックスアレルギーやゴムによる刺激を防げます。
  • ❸ 衝撃の緩和 布が1枚あることでクッションとなり、掃除の際の摩擦や衝撃を和らげます。

少し面倒に感じるかもしれませんが、この「ひと手間」が、年末年始の手肌の運命を分けます。

掃除の途中でも、中の綿手袋が汗で湿ってきたら、すぐに新しい乾いた綿手袋に交換することがポイントです。

まとめ:準備が9割!冬の手荒れとサヨナラ!

冬の手荒れは、起きてしまってから治すのは大変ですが、予防することは十分に可能です。

  • 水仕事ではお湯の温度は上げすぎない
  • 強力な洗剤を素手で触らない
  • 必ず「綿の手袋」をしてから「ゴム手袋」をする

まずは、洗剤を買いに行くついでに、「綿の手袋」を数組用意することから始めてみてください。たったこれだけのことで、冬の手荒れは劇的に減るはずです。

次回は、それでも手がカサカサしてしまった時のために、「本当に効果的なハンドケアの方法(塗り方・選び方)」について詳しく解説します。

日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明