帯状疱疹ワクチン(2)2種類のワクチン、どちらを選ぶ?|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科 帯状疱疹ワクチン(2)2種類のワクチン、どちらを選ぶ?|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科

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帯状疱疹ワクチン(2)2種類のワクチン、どちらを選ぶ?

帯状疱疹ワクチンの記事サムネイル
前回は、帯状疱疹ワクチンの補助券が届いたらすぐに行動することの大切さについてお話しました。
今回は、多くの方が悩まれる「2種類のワクチンのどちらを選べばいいのか」について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
今回も岡山市を例にお話していきます。

2種類のワクチンがあるのはなぜ?

帯状疱疹ワクチンには、生ワクチン(ビケン)不活化ワクチン(シングリックス) の2種類があります。これはそれぞれ異なる技術で作られており、効果や特徴が異なるためです。どちらも国が認めた有効なワクチンですが、ご自身の状況に合わせて選ぶことが大切です。

生ワクチン(ビケン)の特徴

どんなワクチン?
水ぼうそうウイルスを弱毒化した「生きているけれど病気を起こさない程度に弱めたウイルス」を投与し、免疫をつけます。
メリット
  • 接種回数が1回で済む
  • 費用が安い(岡山市では自己負担4,480円)
  • 長年の使用実績(水ぼうそうワクチンとしても使用)
  • 接種後の局所反応が比較的軽い
デメリット
  • 予防効果が不活化ワクチンより低い(帯状疱疹:約51%、帯状疱疹後神経痛:約60%〈3年後〉)
  • 効果の持続期間が短め(5年程度)
  • 70歳以上では効果がさらに低下
  • 免疫が低下している方は接種できない
接種できない方
  • 免疫抑制剤を使用中の方
  • がん治療中の方
  • HIV感染症の方
  • 妊娠中の方
  • 重度のアレルギーがある方

不活化ワクチン(シングリックス)の特徴

どんなワクチン?
ウイルス表面タンパク質のみを使った最先端の「組換えサブユニットワクチン」。免疫が低下している方でも接種可能です。
メリット
  • 帯状疱疹の予防効果:約97%(50歳以上)
  • 帯状疱疹後神経痛の予防効果:約90%以上(3年後)
  • 効果が長期間持続(10年以上)
  • 年齢による効果低下が少ない(70歳以上でも高い効果)
  • 免疫が低下している方でも接種可能
デメリット
  • 2回接種が必要(2〜6か月間隔)
  • 費用が高い(岡山市では自己負担11,080円 × 2回 = 22,160円)
  • 副反応が出やすい(注射部位の痛み・腫れ:約80%、全身症状:約40〜60%)

ワクチン効果の比較

項目 生ワクチン(ビケン) 不活化ワクチン(シングリックス)
帯状疱疹予防効果(50歳以上) 51.3% 97.2%
帯状疱疹予防効果(70歳以上) 37.6% 89.8%
接種回数 1回 2回
効果持続 約5年 10年以上
自己負担(岡山市) 4,480円 11,080円 × 2回

副反応について知っておくべきこと

生ワクチン
  • 注射部位の赤み・腫れ:約50%
  • 全身症状はまれ
  • 重篤な副反応は非常にまれ
不活化ワクチン
  • 注射部位の痛み:約80%(強い痛みの場合も)
  • 腫れ・赤み:約20〜30%
  • 疲労感:約40%
  • 頭痛:約30%
  • 筋肉痛:約30%
  • 発熱(37.5℃以上):約20%

どちらを選ぶべき?

生ワクチンをおすすめする方
  • 費用をできるだけ抑えたい
  • 1回の接種で済ませたい
  • 副反応が心配
  • 比較的若く(65歳)健康
不活化ワクチンをおすすめする方
  • より高い予防効果を求める
  • 長期間の効果を期待する
  • 70歳以上
  • 基礎疾患(糖尿病・高血圧など)がある
  • 免疫低下の可能性がある

接種スケジュールの注意点

  • 生ワクチン:1回接種。他の生ワクチンとは27日以上間隔をあける
  • 不活化ワクチン:1回目接種後2〜6か月後に2回目(令和8年3月31日までに2回とも完了が必要)

よくある質問

Q:過去に帯状疱疹になりましたが接種できますか? A:はい、接種できます。再発予防のためにもおすすめです。
Q:どちらのワクチンが良いか迷っています。 A:年齢・健康状態・経済状況を踏まえ、かかりつけ医にご相談ください。
Q:他のワクチンと同時接種できますか? A:医師が必要と認めた場合は可能です。

まとめ

  • 効果重視:不活化ワクチン(シングリックス)
  • 費用と手軽さ重視:生ワクチン(ビケン)
どちらを選んでも「接種しない」よりははるかに良い選択です。大切なのは、この機会を逃さずに接種することです。
次回は最終回として、「実際の接種の流れと接種後の注意点」について詳しくお伝えします。

(日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明)