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紫外線と皮膚(3)

 紫外線から肌を守るには?

 

これまでの2回で、紫外線が肌に与える影響について詳しくお話ししてきました。

第1回:紫外線とは? なぜUVAとUVBで影響が違うのか

第2回:紫外線が引き起こす皮膚トラブルと疾患のメカニズム

今回は、そうしたリスクから肌を守るために、実際にどのような対策を取るべきかを「日焼け止め」「衣類・生活習慣」「肌のバリア機能のケア」など、多角的に解説していきます。

 

今回のテーマ

 

今回は「防ぐ・浴びない・肌を整える」を柱に、最新のエビデンスも交えながら実践的な紫外線対策を解説します。

 

1. ☀ 生活紫外線にこそ要注意

 

春~秋の通勤、買い物、洗濯物干しなどの中で浴びる“蓄積型のUVA”こそ、しわ・たるみの大きな原因です。

  • 薄曇りの日でも晴天時の60~90%の紫外線が地上に到達します
  • UVAは雲も通り抜けやすく、量がほとんど減りません
  • 窓ガラス(単板)でも約70~75%のUVAが透過

→ UVカットフィルムのない職場や車内では要注意です。

 

2. 🧴 日焼け止め ―“量・塗り直し・広さ”がカギ

 
表示 意味 日常生活での目安
SPF UVB(赤み・炎症)防御 15–30:通勤・買い物/30–50+:屋外活動・高地
PA UVA(しわ・たるみ)防御 PA+++以上が推奨

推奨量:顔全体で500円玉大(約0.8g) → 国際基準は2mg/㎠

塗布のタイミング:外出の15~30分前に

塗り直し:汗・皮脂・こすれを考慮して2~3時間おきに重ね塗り

塗り忘れがちなゾーン:耳、首、髪の生え際、手の甲、足の甲、デコルテ

💡 SPF50+を少量より、SPF30を十分量・こまめに塗る方が、実際の防御効果は高い

 

3. 🧢 物理的ブロック ―“浴びない”工夫を

 
(1) UVカット衣類・小物の活用
  • つば広帽子(ブリム7cm以上):顔全体のUVを60–75%減少
  • サングラス:UVA/UVBを99%カットする表記のあるもの
  • 長袖・アームカバー・手袋:UPF表示があると安心
(2) 室内・車内のUVA対策
  • UVカットフィルム
  • 遮光カーテン
  • 高透過率UVフィルム(可視光透過率70%以上)
 

4. 🕙 紫外線ピークを避ける

 

午前10時〜午後2時が紫外線のピークです。

屋外イベント・園外保育・部活動は時間帯の工夫やタープ・日よけの設置が有効です。

買い物やランニングもできれば朝夕にシフトしましょう。

 

5. 🧴 肌のバリア機能を支えるスキンケア

 
  • 保湿:洗顔後すぐ、低刺激の保湿剤(ヒアルロン酸・セラミド配合)
  • 抗酸化ケア:ビタミンC誘導体、ナイアシンアミド配合の化粧品
  • 日焼け後の応急処置:冷却、抗炎症薬の外用、水ぶくれは皮膚科受診

🚨 適切な処置が遅れると、色素沈着や瘢痕の原因になります。

 

6. ⚠ 紫外線感受性が高まるシーンに注意

 
状態・薬剤 注意点
妊娠・思春期・更年期 ホルモン変動で肝斑・色素沈着が起こりやすい
ニキビ・湿疹治療中 バリア機能の低下/炎症後色素沈着のリスク
ピーリング・レーザー後 最低2週間はSPF30以上を厳守
ケトプロフェン湿布、テトラサイクリン系抗菌薬、NSAIDs 数か月後でも光線過敏を発症するため、遮光を徹底
 

7. 📅 年間通じた“歯みがき”UVケア

 

日本では3月から紫外線量が急増し、10月まで高値を維持します。冬でもUVAは安定して地表に届いています。

💡 対策の基本は「塗る・浴びない・整える」。

これを365日習慣化することで、10年後のしみ・しわ・皮膚がんリスクを確実に下げることができます。

 

✍️ まとめ ― 未来の肌は“今日からの積み重ね”で守れる

 
対策の柱 内容
塗る 正しい量・頻度のサンスクリーン
防ぐ 帽子・サングラス・衣類・窓フィルムなど
避ける 紫外線ピーク時間・窓際・不要な屋外曝露
整える 保湿・炎症ケアで「受けにくい肌」を作る

紫外線やお肌のことで気になることがあれば、いつでもご相談ください。

(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 服部浩明)