「首にブツブツがいっぱいできてきた。なんだかどんどん増えている気がして…」
そんな悩みを抱えて受診される方が、特に40代以降に増えてきます。
首のブツブツは「アクロコルドン(軟性線維腫)」と呼ばれる皮膚の良性のできものです。
悪いものではないのですが、見た目が気になったり、衣服やアクセサリーに引っかかって痛みが出たりすることもあります。
今回は、アクロコルドンとは何か、どんな点に気をつければよいか、そして治療法についてお話しします。
首のブツブツって、いったい何?
アクロコルドンとは、皮膚の表面から小さく盛り上がったやわらかいできもので、色は肌色から薄い褐色(茶色)をしていることがほとんどです。
大きさは1〜数ミリ程度のものが多く、首や脇の下、まぶたの周りなどの皮膚が摩擦を受けやすい部位にできやすい傾向があります。
触ってみると柔らかく、細い茎のような部分で皮膚とつながっています。
痛みやかゆみはないことがほとんどですが、衣服の首元やネックレスなどに繰り返し引っかかると、赤くなったり、痛みが出たりすることもあります。
悪性化(がん化)することはなく、体に害を与えるものではありませんが、一度できると自然には消えにくく、気になる方は皮膚科で治療することができます。
なぜできるの?増えやすい人は?
アクロコルドンができる原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が知られています。
まず、加齢が最も大きな要因です。
年齢を重ねると皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が遅くなり、皮膚の一部がわずかに過剰増殖してできものとして残りやすくなります。
また、皮膚同士や衣服との摩擦も関与していると考えられており、首、脇の下、まぶたの周りなど摩擦が起こりやすい部位に多いのはそのためです。
そのほかにも、肥満、妊娠中のホルモン変化、糖尿病なども関係することがあるという報告があります。
家族に多い方もいますので、体質的な素因もあるようです。
当院でも、「最近急に増えてきた気がして」「いつの間にかたくさんできていた」とおっしゃって受診される方が少なくありません。
放置していても増えることはありますが、減ることはありません。
自分で取ろうとするのは危険です
「小さいし、自分でハサミで切ってしまえないかな」と思いますけど、あまりお勧めはできません。
首は髪の毛や衣服などがこすれやすく、外からの刺激が多い場所です。
自己処置では、出血や感染(化膿)を引き起こすリスクがありますし、傷跡も残りやすくなります。
もし見た目が気になったり、引っかかって痛むようになったりしているなら、皮膚科専門医に診てもらうのが最も安全な方法です。
また、アクロコルドンに似た見た目でも、別の皮膚疾患(脂漏性角化症、尋常性疣贅=ウイルス性イボ、まれに悪性のものなど)が混じっていることがあります。
自己判断せず、皮膚科専門医の診察を受けることで、正確な診断をつけてから適切な治療を受けられます。
皮膚科での治療法について
アクロコルドンは良性のできものですので、症状がなければ必ずしも治療が必要なわけではありません。
ただ、「衣服やアクセサリーに引っかかる」「引っかかって痛い」という場合は、保険診療で治療を受けることができます。
液体窒素というマイナス196℃の液体を使ったり、電気焼灼ができる機械をつかったり、専用のハサミをつかったりと様々な治療法があります。
処置後しばらくは「キズ」になりますので赤くなったり一時的に色素沈宅を起こすことがありますが、数か月後にはほとんど気にならなくなります。
どちらの方法が適しているかは、ブツブツの数・大きさ・位置などによって異なりますので、診察の時に相談しながら決めていきます。
少数なら一度の治療で終了することもありますが数が多い場合には複数回の治療が必要になります。
治療後のケアと気をつけること
治療後しばらくは、処置した部位を清潔に保つことが大切です。
強くこすったり、ひっかいたりしないようにしましょう。
かさぶたができた場合は、無理に剥がさずに自然に取れるのを待ってください。
予防はできないの?
アクロコルドンは治療して取り除いても、同じ場所や別の場所に再びできることがあります。
それは基本的にはアクロコルドンは「老化」による皮膚の変化だからです。
それでもなるべく増えないように工夫することはできます。
#紫外線対策
皮膚の老化には紫外線が大きく影響しています。首は露出しているので日常生活で紫外線が当たりやすい場所です。顔だけでなく、首にも日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。
#こすれ対策
こすれは皮膚の老化の一つの原因です。首は髪の毛のこすれや衣服のこすれが起こりやすいところで、それがアクロコルドンの原因の一つになります。外からの刺激を減らすように工夫しましょう。
まとめ
首のブツブツ(アクロコルドン)は、加齢とともに多くの方にできる良性のできもので、体への害はありません。
ただし自己処置は危険ですし、似た見た目でも別の皮膚疾患が混じっていることもありますので、気になった場合には皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
保険診療で液体窒素や焼灼療法などによる治療が受けられますので、「増えてきた」「引っかかって痛い」「見た目が気になって生活の質が落ちている」という方はお気軽にご相談ください。
日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明