
「いつもと同じようにしているはずなのに、なぜか急にいつもの化粧水がしみたり、肌が痒くなる…。」そんな症状に悩んでいませんか?
毎年この時期になると顔や首のかゆみやカサカサで受診される方が増えます。原因の一つとして花粉による皮膚症状が考えられます。今日は花粉による皮膚症状についてお話します。
1.花粉による皮膚症状とは?
花粉症で起こる皮膚のトラブルは、花粉皮膚炎とも呼ばれ、花粉が肌に直接付着することで生じるアレルギー反応です。具体的な症状としては、肌の赤み(発疹)や強いかゆみ、皮膚のはれ・むくみ、カサカサした乾燥などが挙げられます。
こうした症状は特に花粉が付きやすい顔や首周りに出やすく、目のまわりや鼻のまわり、マスクで覆われていない頬やあごのラインなどに左右対称に現れることが多いのが特徴です。
花粉症といえば、鼻水や目のかゆみといった典型的な花粉症症状を思い浮かべますよね?でも実は、目鼻に症状がない場合でも、皮膚だけに症状が出ることがあるのです。
毎年花粉の飛ぶ季節に同じような肌荒れが起きる場合は、花粉皮膚炎の可能性があります。
2.いつ発症しやすい?
日本は四季が豊かな国ですね。だから季節ごとに飛散する花粉の種類が異なり、それに応じて花粉症の症状が出る時期も異なります。
一般的に春(2月~4月頃)に飛ぶスギやヒノキの花粉が花粉症の原因として最も有名で、この時期に花粉症になる人が最も多いです。そのため春先には花粉皮膚炎による肌荒れも増える傾向があります。当院でも毎日のように花粉皮膚炎を疑わせる患者さんが来院されます。
続いて初夏から夏にかけてはカモガヤなどイネ科(※イネ科=イネ科植物の総称)の花粉が飛び始め、種類によっては初秋まで長く飛散します 。
秋になるとブタクサやヨモギなどの雑草(キク科)の花粉が飛び始め、8月末~10月頃にピークとなるため、この時期にも秋の花粉症(秋の花粉皮膚炎)が発症します。
スギやヒノキ花粉は主に春ですが、実は晩秋から冬にごく少量飛散することも報告されており、地域によっては11~12月に軽い症状が出る人もいます。
つまり日本では一年を通じて何らかの花粉が飛んでいるのですが、特に春(スギ・ヒノキ)と秋(ブタクサ・ヨモギ)に皮膚症状が起こりやすいと言えるでしょう。
3.主な花粉の飛散時期を知っておこう
日本で花粉症の原因となる花粉のうち、最も患者が多いのはスギ花粉です。統計では、日本の花粉症患者の約70%がスギ花粉によるアレルギーを持つとされています。
スギ花粉は毎年2月上旬頃から飛散が始まり、3月にかけてピークを迎えます(まさに今ですね!)。
次いで多いのがヒノキ花粉で、スギと抗原(アレルギーの原因物質)が似ているためスギ花粉症の人はヒノキにも反応しやすいです 。ヒノキ花粉のピークは4月頃で、スギよりやや遅れて飛散します。岡山県ではヒノキの花粉に反応している人が多く、ゴールデンウィークころまで症状が続きます。
イネ科植物(カモガヤ、オオアワガエリ等)の花粉は種類が多く、春から初秋(5~9月)にかけて断続的に飛散します。
また秋の代表的な花粉はブタクサ(豚草)やヨモギ(蓬)です。ブタクサ属・ヨモギ属の花粉は夏の終わり頃から飛び始め、9月前後にピークを迎えます。ブタクサやヨモギは丈の低い雑草ですが道路脇や河川敷など身近に生えているため注意が必要です。
このように、「春のスギ・ヒノキ」「秋のブタクサ・ヨモギ」が花粉症の二大ピークであり、それぞれの花粉飛散期にあわせて肌のかゆみや湿疹が悪化しやすくなります。自分がどの花粉に反応しやすいかは、症状の出る季節や病院でのアレルギー検査で特定できます 。
例えば「春だけ肌荒れがひどい」という場合はスギ・ヒノキの可能性が高く、「秋にも症状が出る」場合はブタクサやヨモギも原因かもしれません。原因花粉を知っておくと適切な対策を立てやすいでしょう。
4.アレルギーの検査は?
アレルギーの検査には血液検査が最も適しています。大人では注射で採血しますが、子どもや注射が怖い方では当院では指先から少量の血液を採取して花粉およびその他の項目の検査を行える検査機器を使っています。
幼稚園や保育園に上がる前の子供では、まだ外にいる期間も短く、どちらかといえば食物アレルギーが問題になる年代ですが、小学校に上がってからは次第に花粉にアレルギーを獲得する子どもたちが増えてきます。また、花粉にアレルギーを持っている人ではダニやハウスダストにアレルギーが有る人も多く、その場合は室内の環境対策も必要になってきます。
症状がしつこく続いたり毎年のように症状が出る場合には検査を検討してみましょう。
次回は治療方法や注意点などについてお話します。