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赤ちゃんのフケ・かさぶた

乳児脂漏性皮膚炎

「赤ちゃんの頭に黄色いかさぶたがびっしりついていて、取っていいのかわからない」
「お友達の赤ちゃんはきれいなのに、うちの子だけフケがひどい」
「ちゃんと洗ってあげているのに、頭がベタベタする」
——乳児健診の時期や、生後数ヶ月の頃にこうしたご相談をよくお受けします。

これまで3回にわたって成人の脂漏性皮膚炎についてお話ししてきましたが、実は赤ちゃんにも脂漏性皮膚炎が起こります。
最終回の今回は、「乳児脂漏性皮膚炎」について、親御さんに知っておいていただきたいことをまとめてお話しします。

頭の黄色いかさぶた、その正体は?

乳児脂漏性皮膚炎ってなに?

生後2週間〜3ヶ月頃の赤ちゃんの頭に、黄色っぽい脂性のかさぶた(鱗屑)がべったりとつくことがあります。
頭頂部や前頭部に多く、おでこや眉毛のあたりまで広がることもあります。

これは「乳児脂漏性皮膚炎」と呼ばれ、英語では「クレイドルキャップ(cradle cap=ゆりかごの帽子)」という名前がついているほど、赤ちゃんにはよくある皮膚トラブルです。

見た目はインパクトがありますが、赤ちゃん本人はかゆがっていないことが多く、機嫌よく過ごしていることがほとんどです。

乳児脂漏性皮膚炎は、ほとんどの場合、生後数ヶ月〜1歳頃までに自然に治まります。
成人の脂漏性皮膚炎が慢性的に再発を繰り返すのとは異なり、乳児型は一過性の経過をたどるのが一般的です。

なぜ赤ちゃんに脂漏性皮膚炎が起こるの?

原因はなに?

赤ちゃんは生後半年程度、お母さんから受け継いだホルモンの影響で皮脂の分泌が一時的に活発になります。

成人の脂漏性皮膚炎と同じく、この皮脂をエサにしてマラセチアという常在菌が増殖し、その副産物が皮膚を刺激して炎症が起きると考えられています。

つまり、成人の脂漏性皮膚炎と基本的な仕組みは共通していますが、乳児の場合はお母さんのホルモンの影響が薄れるにつれて皮脂分泌が落ち着き、それに伴って症状も自然に治まっていくのです。

このシリーズで繰り返しお伝えしてきたことですが、これは「洗い方が足りない」「ケアが悪い」ということではありません。
赤ちゃんの体の発達過程で起こる自然な現象ですので、親御さんがご自身を責める必要はありません。

ご自宅でのケアの基本

おうちでできるケア

乳児脂漏性皮膚炎の多くは、ご自宅でのケアで対応できます。
基本は「痂皮(かさぶた)をふやかして、やさしく取り除く」ことです。

まず、入浴の30分〜1時間ほど前に、ベビーオイルやワセリンを黄色い痂皮の部分にたっぷり塗ります。
こうすることで、頭皮にこびりついた痂皮がふやけてやわらかくなります。

そして入浴時に、ベビーシャンプーを泡立てて、指の腹でやさしく洗います。
ふやけた痂皮が自然に浮いてくるので、そっと取り除きます。

ここで大切な注意点が二つあります。

  • 一度で全部取ろうとしないこと。無理に剥がすと皮膚を傷つけてしまいます。何回かの入浴に分けて、少しずつ取り除いていけば十分です。一週間程度を目安にしましょう。
  • 爪やクシで引っ掻いて取るのは絶対にやめてください。傷がつくとそこから細菌が入り込み、感染を起こすことがあります。

「オイルを塗って→ふやかして→やさしく洗う」を数日〜1週間ほど繰り返すと、多くの場合きれいになっていきます。

成人の脂漏性皮膚炎とはどう違う?

成人の脂漏性皮膚炎は慢性疾患であり、「コントロールする」病気です。
抗真菌薬やステロイドを使った治療と、薬用シャンプーによる維持療法が必要です。

一方、乳児脂漏性皮膚炎は基本的に一過性です。ほとんどの場合、上でお話ししたホームケアで十分対応できます。

こんなときは皮膚科を受診してください

どういうときに病院に?

乳児脂漏性皮膚炎はホームケアで対応できる場合がほとんどですが、以下のような症状があるときは皮膚科を受診してください。

  • 赤みが強い、ジュクジュクしている、出血がある
  • 赤ちゃんがかゆがって掻きむしっている
  • 頭だけでなく、首のしわ・脇の下・おむつの下にも広がっている
  • 1ヶ月以上ホームケアを続けても改善しない
  • 生後半年を過ぎても症状が続いている

特に気をつけていただきたいのは、乳児脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎は見た目が似ていることがあるという点です。
赤ちゃんの頬が赤い、体にもカサカサが広がっている、かゆがって機嫌が悪い——こうした場合はアトピー性皮膚炎の可能性も考える必要があります。

また、非常にまれですが、乳児の皮膚炎の中にはランゲルハンス細胞組織球症など、別の病気が隠れていることもあります。
見た目だけでは区別が難しい場合がありますので、ホームケアで全く改善がない場合には皮膚科専門医に相談してください。

「自然に治るなら放っておいていい」?

乳児脂漏性皮膚炎は多くの場合自然に治まります。ではなぜ、ケアをする必要があるのでしょうか。
理由は二つあります。

一つ目は、先ほどお話しした「他の病気との鑑別」です。
乳児脂漏性皮膚炎だと思って様子を見ていたら、実はアトピー性皮膚炎だった、というケースがあります。
アトピー性皮膚炎は自然には治まりませんので、早めに診断を受けて治療を始める必要があります。

二つ目は、「皮膚バリアの維持」です。
以前、冬の乳児スキンケアの記事でもお話ししましたが、赤ちゃんの皮膚バリアが壊れた状態が続くと、そこから食物アレルゲンなどが侵入してアレルギー(経皮感作)が始まるリスクが指摘されています。
乳児脂漏性皮膚炎そのものは一過性でも、炎症によってバリア機能が壊れた状態を長く放置することにはリスクがあるのです。

「自然に治るから」とまったく何もしないのではなく、ホームケアでこまめに痂皮を取り除いて頭皮を清潔に保つこと。
そして、上に挙げたような受診サインがあれば早めに皮膚科に相談すること。この二つを心がけてください。

よくいただくご質問

Q. ベビーオイルの代わりにオリーブオイルを使ってもいいですか?

痂皮をふやかす目的であれば、オリーブオイルやワセリンでも構いません。
ただし、オリーブオイルに含まれるオレイン酸はマラセチアのエサになる可能性が指摘されています。
気になる場合はワセリンやベビーオイル(ミネラルオイル主体のもの)を使う方が無難です。
オーガニック=常に良いというわけではないのですね。

Q. 毎日シャンプーした方がいいですか?

痂皮がついている時期は、毎日の入浴時にベビーシャンプーで頭を洗ってあげるのが基本です。
ただし、成人の脂漏性皮膚炎と同じで「ゴシゴシ洗う」必要はありません。指の腹でやさしく、が基本です。

Q. 大人になっても脂漏性皮膚炎になりますか?

乳児脂漏性皮膚炎と成人の脂漏性皮膚炎は、発症のピークが異なる別の波です。
乳児期に脂漏性皮膚炎があったからといって、大人になってからも必ず発症するわけではありません。
成人の脂漏性皮膚炎は30代〜40代にピークがあり、ストレスや生活習慣など別の要因が関わっています。

日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明