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子供の虫刺され

お子さんの虫刺され

「子どもが蚊に刺されたら、まぶたがパンパンに腫れて別人みたいになった」

「足首を掻きむしって、傷口がジュクジュクして広がってしまった」

これからの季節、こうした虫刺されのトラブルでお子さんを連れて来院される方が一気に増えます。

虫刺されは誰もが経験する身近なトラブルですが、「たかが虫刺され」と放っておくと、思わぬ長引き方をしたり、別の皮膚の病気に発展してしまうことがあります。

今回から3回にわたって、虫刺されについてお話しします。初回は、虫刺されの基本的な仕組みと、特にお子さんの虫刺されで気をつけていただきたいポイントについてです。

虫に刺されると、皮膚の中で何が起きている?

なぜ腫れる?

蚊やブユに刺されたとき、赤く腫れてかゆくなるのは、虫の唾液に対する体のアレルギー反応です。

虫は血を吸うときに、血が固まらないようにするための成分を含んだ唾液を皮膚に注入します。体の免疫がこの唾液成分を「異物」として認識し、排除しようとして炎症を起こします。これがかゆみや腫れの正体です。

つまり、虫刺されの症状は虫の「毒」による直接的なダメージというよりも、自分の体の免疫反応によって引き起こされているのです。

大人と子どもで反応が違う理由

子供はなぜ腫れやすい?

大人が蚊に刺されても、少し赤くなってかゆい程度で済むことが多いですよね。ところがお子さんの場合、同じ蚊に刺されただけなのに、まぶたがパンパンに腫れたり、耳が何倍にも膨らんだりすることがあります。

これは、アレルギー反応の「型」が年齢によって変わるためです。

蚊に何度も刺されていくうちに、体の反応は段階的に変化していきます。まだ刺された経験が少ない乳幼児期には、刺されてから半日〜翌日にかけて強く腫れる「遅延型反応」が主体です。この反応は大人に比べて腫れが大きく、広がりやすいのが特徴です。

成長して何度も刺されるうちに、体が慣れてきて反応は次第に軽くなっていきます。大人になると「刺された直後だけ少しかゆい」程度で済むようになるのは、こうした免疫の変化があるからです。

つまり、お子さんの虫刺されが大げさに腫れるのは、体がまだ虫の唾液に「慣れていない」ためであり、異常なことではありません。ただし、腫れが大きい分だけ掻きこわしやすく、そこからトラブルにつながりやすいのです。

まぶたや耳が腫れると「別の病気」に見える

顔の虫刺されは腫れやすい

お子さんが顔を蚊に刺されたとき、特にまぶたや耳は皮膚が薄くてやわらかいため、驚くほど大きく腫れることがあります。

片方のまぶたがぷっくりと腫れて目が開けられない、耳たぶが通常の倍近くに膨らんでいる——こうした見た目だと、親御さんは「何か別の病気では?」と心配して受診されることがよくあります。

当院でも「目が腫れて開かないので眼科に行くべきか迷った」とおっしゃる方が少なくありません。たいていの場合、よく見ると腫れの中心に小さな刺し口があり、虫刺されだとわかります。

顔の腫れは見た目のインパクトが大きいですが、適切に治療すれば数日で引いていきます。冷やすことで腫れを抑えられますので、刺された直後は冷たいタオルなどで患部を冷やしてあげてください。

本当に怖いのは「掻きこわし」から始まるとびひ

かきこわしに注意!

虫刺されそのものよりも、お子さんの虫刺されで最も注意していただきたいのが「掻きこわし」です。

かゆいから掻く。掻くと皮膚に傷がつく。傷口から細菌が入り込む。——この流れで起きるのが、「とびひ(伝染性膿痂疹)」です。

とびひになると、傷口の周囲に黄色い膿を持った水ぶくれやかさぶたが広がっていきます。名前の通り、まるで「飛び火」するかのように、掻いた手で触れた別の場所にも次々と広がっていくのが特徴です。

とびひは細菌感染ですので、いくら虫刺され用の塗り薬を使っても治りません。抗菌薬の塗り薬や内服薬が必要になります。

当院でも夏になると「虫刺されが治らない」と受診されるお子さんの中に、すでにとびひに移行しているケースがよくあります。刺されたところだけでなく、離れた場所にも同じような症状が出始めたら、早めに皮膚科を受診してください。

掻かせないための工夫

かきこわしを防ぐには?

とびひを防ぐために大切なのは、とにかく掻きこわさないことです。とはいえ、かゆみを我慢できない小さなお子さんに「掻くな」と言うのは無理な話ですよね。

まず、刺されたらすぐに患部を流水で洗い、清潔にしてから虫刺され用の市販薬を塗ってあげてください。かゆみが落ち着かない場合は、冷やすとかゆみが和らぎます。

日頃からお子さんの爪を短く切っておくことも大切です。爪が長いと、掻いたときに皮膚を深く傷つけてしまい、とびひのリスクが高くなります。

かゆみが強くて市販薬では抑えられない場合は、皮膚科でステロイドの塗り薬や抗アレルギーの飲み薬を処方してもらうことで、かゆみのサイクルを早めに断ち切ることができます。「たかが虫刺されで病院に行くのは大げさかな」と思わず、掻きこわしが始まる前に受診していただく方が結果的に早く治ります。

皮膚科を受診した方がよいサイン

最後に、市販薬で様子を見てよい場合と、皮膚科を受診した方がよい場合の見分け方をまとめておきます。

刺された部分だけが赤く腫れていて、かゆみも市販薬で落ち着いているようなら、自宅でのケアで十分対応できます。

自宅で様子を見る目安

一方、こんな場合は皮膚科を受診してください。

腫れが広範囲に広がっている、特に顔がひどく腫れている場合。2〜3日たっても腫れやかゆみが引かず、むしろ悪化している場合。刺されたところから黄色い汁やかさぶたが出て、周囲に広がっている場合(とびひの可能性)。何の虫に刺されたかわからず、痛みや腫れが強い場合。

こんなときは受診を!

虫刺されは身近なトラブルだからこそ、「これくらい大丈夫」と放置されがちです。でも、お子さんの虫刺されは大人が思っている以上に腫れやすく、掻きこわしからとびひに発展しやすいということを覚えておいていただければと思います。

次回は、虫刺されを長引かせるとどうなるか——色素沈着や結節性痒疹という「後遺症」と、意外と多い毛虫皮膚炎についてお話しします。

日本皮膚科学会皮膚科専門医 服部浩明