シミ取りレーザーは、かさぶたが取れてからが本番|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科 シミ取りレーザーは、かさぶたが取れてからが本番|服部皮膚科アレルギー科|岡山市北区清心町の皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科

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シミ取りレーザーは、かさぶたが取れてからが本番

頬のテープを鏡で気にする男性

シミ取りレーザーを受けたあと、いったん薄くなった場所が、数週間してまた茶色く見えてくることがあります。「せっかく取ったシミが戻ってしまったのでは」と不安になる方もいますが、多くの場合、元のシミがそのまま再発したわけではありません。

シミ取りレーザーは、かさぶたが取れたら終わりの治療ではありません。むしろ、そのあとの過ごし方が仕上がりを左右します。当院では、照射してから色が落ち着くまでの半年から1年を含めて、ひとつの治療だと考えています。

今回は、当院で老人性色素斑に使っているQスイッチルビーレーザーを例に、照射直後から色が落ち着くまでの間に皮膚の中で何が起きているのかを、順番にお話しします。これから治療を受ける方は、照射を受ける日だけでなく、その後の予定も思い浮かべながら読んでみてください。

シミ取りレーザーを受けた方がまず驚かれるのは、照射した翌日です。取れるはずのシミが、かえって濃く、黒っぽく見えてくるからです。

翌日から濃くなる。でも失敗ではありません

「失敗したのでは」と心配になるかもしれませんが、これは予定どおりの経過です。

レーザーの光はシミの色素に吸収されて熱に変わり、色素の粒を砕きます。熱で傷んだ表皮の細胞は、砕けた色素を含んだまま固まり、数日のうちに薄いかさぶたに変わっていきます。色が濃く見えるのはそのためです。当院のQスイッチルビーレーザーでは、照射後1週間ほどでかさぶたになり、2週間ほどで自然に剥がれます。

かさぶたは剥がさない。下では新しい皮膚が育っています

かさぶたは剥がさずテープで守る

かさぶたの下では、周りの皮膚や毛穴の奥から新しい表皮が伸びてきて、傷んだ部分を張り直しています。かさぶたは、その作業が終わるまで上を覆っておく、天然の絆創膏のようなものです。気になって指で剥がすと、まだ張り終わっていない皮膚がむき出しになり、そこに新しい炎症が起きて色が残りやすくなります。

この期間、当院では照射した場所に保護テープを貼っていただくか、上からメイクで隠していただいています。洗顔は泡でなでるように洗い、かさぶたは自然に落ちるのを待ってください。

かさぶたが取れても、治療はまだ終わっていません

色が落ち着くまで半年から1年かかる

2週間ほどでかさぶたが落ちると、シミのあった場所は周りより少しピンク色になっています。新しい表皮が張ったばかりで、その下ではまだ炎症の後片付けが続いている状態です。見た目は取れていても、工事はまだ終わっていません。

ここで起きうるのが、炎症後色素沈着、いわゆる「戻りジミ」です。レーザーが砕くのは、すでにできあがった色素です。色素を作る細胞は、すべてがなくなるわけではありません。残った細胞が治りかけの炎症に刺激され、ふたたび色素を作りはじめます。

国内の報告では、Qスイッチルビーレーザーで老人性色素斑を治療した部位の6割あまりに、この色素沈着が起きていました。戻りジミは、まれな失敗ではなく、この治療でよく起こる経過のひとつです。だからこそ、起きたときに慌てないことと、濃くしないことが大切になります。

かさぶたが取れたあとの赤みが強いほど、その後に色素沈着が起きやすかったという研究もあります。つまり、ピンク色が残っている間は、まだ治療の途中だと考えてください。

日焼け止めだけではなく、光に当たる時間を減らす

帽子・日傘、外出は朝夕に、日焼け止めも

戻りジミをできるだけ濃くしないために、紫外線対策は大切です。ただ、レーザー後の色素沈着を防ぐ方法を比べた研究をまとめた解析では、日焼け止めを塗るだけでは、何もしない場合とはっきりした差が出ませんでした。塗ったから安心、とは言えないということです。

一方で、照射後の経過を追った研究では、午後に屋外で過ごすことが多い人ほど、色素沈着が起きやすくなっていました。

ですから、塗ることに加えて、光に当たる時間そのものを減らしてください。帽子や日傘で物理的に光をさえぎり、屋外の用事はできるだけ朝や夕方に回します。秋冬に始めると紫外線が弱まる時期と重なり、こうした過ごし方を続けやすくなります。ただし冬でも紫外線はなくならないので、季節を問わず同じ注意が必要です。

色が戻ってきたら、急がずに見守る

色が戻ったら急がずに見守る

色素沈着は、照射から1か月前後に目立ってくることが多く、ちょうど「取れたと思ったのに、また出てきた」と感じる時期にあたります。

ただ、その出方には個人差がとても大きく、ほとんど出ない方もいれば、1年ほど続く方もいます。肌の色やシミの濃さ、肝斑の有無で起こりやすさは変わりますが、前もって正確に予測することは難しいのが実際です。

色が戻ってくると、早く消したいと思われるのは自然なことです。それでも、ここで急いでレーザーを当て直すと、かえって色が濃くなってしまうことがあります。色素沈着が出た方には、まず半年から1年ほど守りの治療を続け、そのうえで、残っている色にレーザーをもう一度当てるかどうかを一緒に考えることをおすすめしています。

待つことに意味がある理由

奥の炎症が引くまで待つ

かさぶたが取れて表面がきれいに見えても、皮膚の奥では炎症がまだ静かに続いています。レーザーの照射は、皮膚にとっては狙いを絞った小さな火傷のようなものです。火傷のあとの皮膚は、見た目が治ってからもしばらくは刺激に敏感な状態が続きます。色素を作る細胞も同じで、炎症の余韻が残っている間は、少しの刺激にも反応して色素を作りやすくなっています。

その状態で次の照射をすると、治りきっていない火傷に、また火傷を重ねることになります。炎症が上乗せされ、落ち着きかけていた細胞がふたたび刺激されて、色素がさらに作られます。消そうとして当てたレーザーが、新しい色素沈着の原因になってしまうのです。

もうひとつ知っておいていただきたいのは、戻ってきた色の多くは、時間とともに自然に引いていく色だということです。皮膚は少しずつ生まれ変わり、炎症が収まるにつれて、余分に作られた色素も外へ出ていきます。深いところに落ちた色素は、体の掃除役の細胞がゆっくり片づけていきます。この片づけに、半年から1年ほどかかります。急いで当て直すと、待っていれば薄くなったはずの色に、わざわざ新しい炎症を加えることにもなりかねません。

ですから、この時期は守りの治療で皮膚を落ち着かせることに専念します。美白剤や、皮膚の状態を整える治療を続けながら、光と摩擦から皮膚を守ります。当院では、ケアシスSによる導入治療や、アンチエイジングセット、当院で扱っている基礎化粧品などを組み合わせています。刺激の強い化粧品や市販の薬を自己判断で次々に試したり、こすったりするのは避けてください。刺激そのものが新しい炎症になります。

半年から1年たって炎症がすっかり落ち着くと、残っている色が本当に残ったシミなのか、もともと隠れていた肝斑なのかも見分けやすくなります。当院では、その時点で照射前に撮影した画像と見比べ、もう一度レーザーを当てるかどうかをご相談しています。

次のような場合は、次の予約を待たずにご連絡ください。

  • 照射した場所の腫れや痛みが日ごとに強くなる、膿や黄色いかさぶたがつく
  • 保護テープを貼った周りが赤くかぶれてきた
  • 皮膚科専門医以外やオンライン診療で処方された薬で症状が悪化している場合

レーザーを受ける日は、その先の予定から決める

シミ取りレーザーの仕上がりは、照射した日に決まるわけではありません。かさぶたが取れてから色が落ち着くまでの半年から1年、新しい皮膚を光と刺激から守りきって、ようやく完成します。

これから治療を考えている方は、照射日を決めるときに、まず、その2週間後から1か月後までの予定を確かめてください。色が戻るかどうかの分かれ目になる時期なので、日中に長く屋外で過ごす予定が入っていない時期を選ぶことが、仕上がりを守るいちばん確かな準備になります。

レーザーを当てる日は、治療の終わりではなく始まりです。その後の半年から1年は守りの治療を続けるつもりで始めておくと、色が濃くなっても、いったん色が戻っても、落ち着いて経過を見ることができます。

そもそも自分のシミにレーザーを当ててよいのかが気になる方は、「そのシミ、本当にレーザーで取って大丈夫ですか」も参考にしてください。

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 服部浩明